脱毛はワキガを悪化?ニオイを軽減?正しい知識とは
女性にとって必須の脇毛処理ですが、定期的にやるのが面倒という方は少なくありません。
そんな脇毛処理の悩みを一気に解決してくれるのが脱毛です。
しかし、脱毛をするとワキガになる、またはワキガが悪化するという噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
その一方で、ワキガが改善された、脇のニオイが軽減されたという情報もあるので、一体どちらが正しいのか混乱してしまいますね。
そこで今回は、脱毛によってワキガは悪化するのか?
それともニオイが軽減できるのか?について正しい知識をご紹介していきます。
目次
ワキガのメカニズムについて
結論から言うと、ワキガと脱毛には何の関係もありません。
ワキガの原因はアポクリン汗腺という器官から分泌される汗なので、脱毛をしたから悪化するということはないのです。
そうは言っても、脱毛でワキガが悪化したという情報を聞けば不安になってしまいますね。
そんな不安を解消するには、ワキガのメカニズムを理解しておくことが重要です。
独特のニオイを発生するメカニズムが分かっていれば、脱毛がワキガに影響しないことがロジック的に分かります。
アポクリン汗腺とは
アポクリン汗腺というのは、脇や性器に存在している汗腺で人間の体臭を作る役割を持っています。
人間に限らず哺乳類には独自の体臭がありますが、これは仲間を確認したりフェロモンを出して子孫を残したりするための役割を担っています。
これが、動物独特のニオイを発生させる原因になるのですが、人間は進化をしたことでニオイを出す必要がなくなりました。
そのためアポクリン汗腺は少しずつ退化し、今では人間の体臭はそれほど強烈なものではなくなっています。
といっても完全になくなったわけではなく、エクリン汗腺とともに体内の不要物を汗として分泌する働きは続いています。
ワキガのニオイの原因
人間の汗腺は、ワキガを発生させるアポクリン汗腺と普通の汗を出すエクリン汗腺の2種類があります。
スポーツをしたり入浴をしたりするときの汗は、エクリン汗腺から分泌されるもので、9割が水分になるため無色透明でニオイもありません。
一方、アポクリン汗腺から出る汗には水分だけではなく、脂質やアンモニア、タンパク質などいろいろな成分が含まれています。
この汗は、皮膚の常在菌の餌になるので、アポクリン汗腺から汗が出ると常在菌によって分解されます。
分解されたアポクリン汗腺の汗の成分は、エクリン汗腺から出る汗とはまったく違った独特のニオイが発生するため、これがいわゆるワキガとして認識されるのです。
ワキガのニオイの強さ
ワキガは誰にでも発生するものではなく、一部の人にしか発生しません。
多少匂うことはあっても、ワキガの人とワキガじゃない人は明らかにニオイの強さが違います。
その理由は、アポクリン汗腺の度合いが人によって違うからです。
アポクリン汗腺は退化した汗腺なので、現代人の多くはアポクリン汗腺が未発達で機能していません。
しかし、一部の人はアポクリン汗腺が普通に発達しているため、普通に汗が分泌されてしまうことでワキガが発生するのです。
アポクリン汗腺の活性は遺伝によるところが大きいので、アポクリン汗腺を取り除かない限りワキガは治らないと言われています。
脱毛でワキガが悪化すると言われる理由
脱毛サロンの口コミを見てみると、脱毛後に脇のニオイが強くなった、ワキガが悪化したなどネガティブな意見が多く見られます。
そのため、脱毛したくても出来ないという方も少なくないようです。
ワキガのメカニズムを見れば分かるように、脱毛とワキガには直接的な関係はまったくありません。
それなのにワキガが悪化したという口コミが多いのは何故なのでしょうか。
ここでは、脱毛でワキガがひどくなったと言われる理由をご説明していきます。
ムダ毛がなくなり汗の量が増えたと勘違いする
ムダ毛にはちゃんと役割があり、体温調節をしたり肌を守ったりしてくれています。
中でも特に大事なのが体温調節で、体温が上昇すると汗を分泌して体を冷やしますが、ムダ毛は汗を肌全体に行き渡らせる働きをしています。
そのため、ムダ毛がなくなると、分泌された汗は拡散されず1ヶ所に溜まり流れ落ちていきます。
今まで溜まったり流れたりしなかった汗の状態が変わると、分泌量が増えたように感じます。
汗が増えれば、感覚的にニオイも強くなったように思えるため、ワキガが悪化したと感じてしまうのですね。
衣類に染みこむ脇汗がニオイが原因
基本的に、普通に出る汗はエクリン汗腺から分泌されているので、不純物はほとんど含まれていません。
汗はニオイの元と言われるので勘違いしやすいですが、汗自体にニオイはないのです。
それなのに匂ってしまうのは、衣類に汗が染みこんで時間が経つと、水分だけが蒸発して不純物が残るからです。
不純物は常在菌の餌になるため、例えエクリン汗腺の汗であってもニオイが発生することがあります。
脱毛をして汗の量が増えたと感じ、さらに衣類に染みこんだ汗からニオイがするのもワキガが悪化したと感じる原因です。
ニオイに敏感になってしまう
ワキガに関する正しい知識がないと、脱毛でワキガが悪化するという噂を信じ込んでしまいます。
そのため、それでもいいから脱毛しようと思っても、心のどこかで「悪化する」という不安があります。
人間というのは、不安の原因に対して敏感になります。
たとえば、少しでも太ったと感じると毎日体重を計ったり、虫歯ではないかと思うと食べたり飲んだりするときに歯に意識を集中させます。
ワキガに対しても同じで、脱毛をした後はニオイに対していつもより敏感になる人が多いのです。
すると、普段と同じニオイであっても、前より強くなった、悪化したと感じてしまうのですね。
ワキガに対するストレスで発汗量が増える
脱毛をした後、あまりにも脇汗やワキガを気にしすぎてしまうと、無意識のうちにストレスが溜まります。
人間はストレスを感じると交感神経を活発に働かせて、体を守ろうとします。
交感神経が活性化すると、血管の収縮が激しくなり汗の分泌量が増えます。
ストレスによる発汗は精神性発汗とも言われるもので、普通のさらさらした汗と違い、タンパク質やミネラルを含む脂質の割合が多くベタベタしています。
そのため肌に残りやすく、また常在菌の繁殖にも繋がることからニオイがきつくなってしまうのです。
脱毛の刺激で一時的にワキガが強くなることがある
脱毛には、レーザーや光などを照射して脱毛する方法と脱毛用の針を使うニードル脱毛の2種類があります。
レーザー脱毛では、ムダ毛に高熱を発生させて毛根組織を破壊します。
ニードル脱毛は、特殊な針を毛穴に差し込んで微弱電流を流し、毛根組織を死滅させます。
どちらも、相当なダメージを与える脱毛法なので、その刺激でアポクリン汗腺の活動が活発になることがあります。
アポクリン汗腺が活発になると、汗の分泌量が増えるためニオイも強くなるのです。
ただし、刺激による活性化は一時的なものなので、脱毛してから数日経てばニオイも弱まっていきます。
脱毛でニオイが軽減されると言われる理由とは?
ワキガが悪化するという口コミがある反面、ニオイが軽減したという口コミもあります。
当然ですが、ニオイが軽減されるのであれば、脱毛に対して悩む必要はありませんね。
それでもためらってしまうのは、ニオイが軽減されるという根拠が分からないからではないでしょうか。
ワキガが悪化したと思い込むことに根拠があるように、ニオイが軽減したと言われるのも理由があります。
その理由が分かれば、安心して脱毛に挑むことができるので、不安な方はぜひチェックしておきましょう。
ムダ毛がなくなると雑菌が減少する
ニオイの発生源となるのは皮膚に存在する常在菌や、衣類などに付着している雑菌です。
これらの菌が汗に含まれるタンパク質や脂質を分解することで、嫌なニオイが発生します。
脇は、もともと通気性が悪く蒸れやすいので雑菌には最高の住み心地です。
さらに脇毛があると、付着や繁殖がしやすい環境が整えられてしまうので、そこにアポクリン汗腺の汗が加わることでニオイも強くなります。
脱毛をすれば、雑菌の住処がなくなってしまい繁殖できなくなりますから、必然的にニオイの発生も抑えられるのです。
自己処理の刺激がなくなる
脱毛をしなければ、毛抜きで抜いたりカミソリやシェーバーを使って剃ったりしなくてはいけません。
脇毛の処理は長年やっていることなので、特にダメージを意識しない方も多いでしょう。
ですが、自分ではあまり痛みを感じないとしても、ムダ毛の自己処理では肌に強い刺激を与えています。
この刺激がアポクリン汗腺の活動を活発にしてしまうことも少なくありません。
つまり、脇毛を処理することがワキガや脇のニオイを強くしていることもあるのです。
脱毛をすれば自己処理による刺激もなくなるので、アポクリン汗腺の活動が抑制され、ニオイの発生も抑えられます。
汗がきちんと拭き取れる
ムダ毛があると、汗を拭き取っても、ムダ毛の根元まで綺麗にすることができません。
自己処理をしてあっても、細い産毛が残っていたり、処理後のムダ毛が伸び始めていたりすると、根元部分に汗や汚れが溜まってしまいます。
その汚れを常在菌が分解すれば、脇のニオイも発生します。
脱毛をすることで、毛根部分からムダ毛を処理できれば、根元に汚れが溜まることはありません。
汗をかいても、毛穴の入り口部分までしっかり拭き取れるので、汚れも綺麗に落せます。
汚れがなくなれば、いくら常在菌がいても分解するものがない環境ですから、ニオイが発生することもないのです。
脱毛はワキガ改善効果も期待できる
脱毛をすると、アポクリン汗腺が刺激されることで汗の分泌量が増えて、ワキガのニオイが強くなることもあります。
しかし、レーザー脱毛のように毛根へのダメージが大きい脱毛法は、逆にアポクリン汗腺の機能を低下させます。
レーザー脱毛というのは、黒い色に反応する光を照射することで高熱を発生させ、その熱でムダ毛の毛根組織を破壊します。
組織を破壊するほどのダメージを与えるのですから、その周りに存在するアポクリン汗腺へも大きなダメージを与えられます。
もちろん、レーザー脱毛で絶対にワキガが改善出来るというわけではありません。
ですが大きなダメージを与えることは機能の低下につながるため、ワキガが軽減されたり、人によっては改善したりする効果が期待できるのです。
どうしてもニオイが気になる時の対策法
いくらワキガのメカニズムが分かっても、悪化すると言われる理由があっても、やはり脇のニオイが気になるという方もいるかもしれません。
そもそも、ニオイに対しての感覚は人によって違いますし、脇のニオイは生活習慣も間接的に関係しています。
ですので、理由どうこうではなくニオイが強いと感じることもあるでしょう。
そんな時には、普通の汗のニオイと同じく対策が必要です。
対策といっても難しいことではないので、ニオイが気になった時に実践してみましょう。
蒸しタオルで毛穴を開いて汚れを取る
ニオイを発生させるのは常在菌と不純物の汚れなので、これを徹底的に取り除くことが重要です。
お風呂に入っても、洗濯したての洋服を着ても脇が匂う場合は、毛穴に汚れが詰まっている可能性があります。
その汚れを取り除くには、蒸しタオルがおすすめです。
濡らしたタオルをレンジで温めて、それを脇の下に充てて毛穴を開きましょう。
後は、しっかり拭き取ればニオイの原因を取り除けるので気にならなくなります。
脱毛によるワキガについてのまとめ
ワキガは、アポクリン汗腺から出る汗とそれを分解する常在菌によって発生します。
ですので、脱毛がワキガを悪化させるというのは都市伝説とも言えます。
逆に脱毛をすれば、アポクリン汗腺の機能が低下したり、雑菌の繁殖を抑えたりできるため、ワキガを軽減出来る可能性の方が高いのです。
しかし、その効果は人によって違いますから、絶対にワキガを改善できるとは言えません。
もし脱毛をしてもワキガが気になるというのであれば、ワキガ専用のクリームやデオドラント剤を使うのが効果的です。
脱毛によるニオイ軽減の効果は、あくまでも副産物的なものなので、ワキガ対策は専用のアイテムを使って改善していきましょう。